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透明PETGとInfinity Mirrorで作る『水晶洞窟』

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3Dプリンター Bambu Lab A1 Mini Blender DIY コンテスト 透明PETG Infinity Mirror 電子工作 ダイソー
kame404
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こんにちは! kame404 です🥰 「軽さ」と「美味しさ」を両立した食べ物のCGを作ります。
目次

はじめに
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こんにちは、kame404です。

普段はBlenderで3DCGモデリングをしていますが、去年の12月に3Dプリンター(Bambu Lab A1 mini)を手に入れて以来、すっかりその魅力に取り憑かれています。

毎日何かしら動いています。

先日、2025年6月14日と15日に開催された「Japan RepRap Festival」という3Dプリンター愛好家のためのイベントに参加してきました。

その中でも特に興味を惹かれたのが、HueForgeというソフトウェアです。これは、色の違うフィラメントを薄く積層させることで、まるで絵画のような2D画像を3Dプリントで再現できるソフトウェアです。

イベントの熱気にあてられて、さっそく何色かフィラメントを買い込み、以前Blenderで作ったモンブランのモデルをHueForgeで出力してみました。

HueForgeの課題
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これは楽しい。しかし、HueForgeで凝った作品を作ろうとすると、避けて通れない問題にぶつかりました。フィラメントの切り替えが、想像以上に面倒なのです。

現状、私の環境ではBambu Studioでスライスデータを作成し、指定したレイヤーでプリントを一時停止させ、手動でフィラメントを交換しています。

白と黒の2色くらいならまだしも、色数が増えれば増えるほど、その手間は膨大になります。正直、つらいです。

そこで、複数の色を自動で切り替えてくれるAMSがセットになった、Bambu Labの上位モデルが欲しくなってきました。

コンテストの発見
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そんな物欲を抱えていた矢先、YouTubeで偶然、あるコンテストの告知を目にしました。

麦茶の逸般人工作室」氏が主催する、 「逸般人工作室 自由工作選手権 2025S」 です。

なんと優秀作品にはBambu LabのCombo版(AMS付き!)が贈られるとのこと。これは、挑戦しない手はありません。

今回のテーマは「3Dプリンター × 透明」。

FDM(熱溶解積層)方式の3Dプリンターで、高い透明度を出すのは、技術的にかなり難易度が高いとされているようです。ですが、こういう機会でもなければ、なかなか手を出さない領域です。

まずはAmazonで透明なPETGフィラメントを購入しました。選んだのは「PRINSFIL特製純正定番PETG」です。

まずはこれで、透明表現の勘所を探っていきます。ついでに乾燥ボックスや、染料を買いました。

構想
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さて、何を作るか。コンテストでは、技術的な挑戦や、アイデアの面白さが評価される傾向にあるようです。

ぱっと思いついたのが、「水晶の洞窟」です。

これにLEDを組み合わせてキラキラ光らせる。このアイデアなら、完全な透明度を追求しなくても、むしろ少し曇っている方が光を柔らかく拡散させて、幻想的な雰囲気を出せるかもしれません。

ただ、水晶の洞窟を作るだけでは少し物足りない。そこで、「Infinity Mirror」のギミックを組み込むことにしました。

Infinity Mirrorは、ハーフミラーと鏡を向かい合わせに配置し、その間で光を反射させることで、奥へ無限に空間が続いているように見せるオブジェです。

YouTubeで検索すると、こんな作例が見つかります。

コンセプト
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まずは全体の方向性を掴むため、Blenderで簡単なモデリングを行い、Cyclesでレンダリングして完成イメージを探ってみました。Arrayモディファイアを使い、水晶のクラスターを奥行き方向に複製して、無限感をシミュレートしています。

悪くないですが、少し水晶の配置が単調に見えます。

Infinity Mirrorの作例は、無機質なパターンのものが多い印象です。

おそらく、同じ形状を繰り返すという構造上、その「タイリング感」をごまかす必要があるからだと思います。

「水晶の洞窟」という自然物をモチーフにする場合、このタイリングが目立つと不自然さが際立ってしまいそうです。

そこで、ハーフミラー自体を物理的に少し歪ませることで、反射する像に揺らぎを与え、単調さを隠せるのではないか、という仮説を立てました。

(うまくいくかは、やってみないと分かりませんが。)

制作
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さて、具体的な制作に入ります。できるだけ多くの人が再現できるよう、材料は100円ショップのダイソーで揃えられるものを中心に選びました。

中が見えて開け閉めできる「ストーン調コレクションBOX」と、1mのUSBテープライト。これがベースになります。ハーフミラーはAliExpressで8.5cm四方のものを購入しました。

テープライトは30LEDです。寒色系のホワイトでした。

洞窟の外側
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まずは、洞窟の外側となる部分をモデリングします。

スカルプトでゴツゴツした岩肌を表現しました。両端のZ座標は、繰り返しパターンが綺麗に繋がるように揃えています。

透明PETGを0.8mmの太いノズルで吐出。光の透過を最大化するため、壁を一層だけで作る「スパイラルモード」を有効にしました。

プリントされた洞窟の壁。積層痕がきれいです。

これに、ダイソーで買ってきたテープライトを仮止めしてみます。後で調整しやすいように、セロハンテープで軽く固定しているだけです。

いい感じに光が拡散してくれそうです。

水晶
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次に、主役である水晶をプリントします。

洞窟の壁とは一体化せず、別パーツとして出力しました。一つ一つ手作業で接着する方が、配置の自由度が高く、試行錯誤しやすいからです。

水晶はインフィル(内部充填率)を100%にしてプリントしました。

後ほどダイソーのエポキシ接着剤で、洞窟の内壁に水晶を一つずつ取り付けていく予定です。

箱の加工
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次は、外装となる箱の加工です。無加工の箱はこんな感じ。

まず、箱のフタの内側に、ハーフミラーを貼り付けます。円形に切り抜いたように見せるため、視野を制限する枠を3Dプリンターで作成し、下から被せました。

電源
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そして、箱の底面側。電源の問題です。

この作品は、なるべくコンパクトに、ケーブルレスで完結させたい。

ダイソーのテープライトは5V/415mAなので、一般的なモバイルバッテリーで駆動できます。しかし、水晶の洞窟を設置すると箱の内部スペースはかなり限られます。

そこで、底面に敷けるくらいの超薄型モバイルバッテリーを使いました。

薄すぎて通常のUSB Type-Aポートがなく、Type-Cしかありません。そのため、Type-C to Type-Aの変換アダプタを使いました。

問題なく収まりそうです。

組み立て
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このバッテリーと、底面側のハーフミラーを固定するための部品を、黒いフィラメントでプリントしました。

バッテリーホルダーと、ハーフミラーの隅を固定するコーナーパーツです。

仮組みして、電源オン。

水晶を接着しました。

撮影
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さて、ここでコンテストの概要をもう一度見返してみます。どうやら、作品そのものだけでなく「魅せ方」も重要視されるようです。

この無限に続く奥行き感は、写真一枚ではなかなか伝わりません。そこで、動画で撮影することにしました。

ミラーレスカメラで撮ることも考えましたが、片手でカメラを持ちながら蓋を開閉するような動作は難しいため、iPhoneで撮影することに。

ただ、iPhoneの標準カメラアプリは、自動でレンズが切り替わってしまい、画角が安定しません。また、LEDのような強い光源を撮るには、広いダイナミックレンジが求められます。

そこで、撮影には「Blackmagic Camera」というアプリを使用しました。

このアプリなら、使用するレンズを固定でき、Apple ProResで撮影が可能です。

撮影した映像は、最低限のカラーグレーディングをDaVinci Resolveで行いました。

完成
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おわりに
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というわけで、コンテスト用の作品を作ってみました。

結果がどうなるかはわかりませんが、「透明」という難しいお題に対して、試行錯誤する時間が楽しかったです。

あらためまして、コンテストを企画してくださった、主催の「麦茶の逸般人工作室」様、ありがとうございました。

そして、今回のコンテストテーマが「透明」ということで、せっかくなら制作過程もできるだけ透明にしてみようかなと思い立って、こうしてブログに書き留めてみた次第です。

誰かの何かのヒントにでもなれば嬉しいです。

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